Cloudflare のアナウンス記事 で、Stripe Projects 経由で Cloudflare のアカウント作成から API トークン発行・デプロイまでを agent が一気通貫でやってくれる、という発表がありました。実際にどこまで動くのかが気になったので、Vercel と Cloudflare Workers の 2 つを手元で試してみました。
開発者ベータとしてローンチされたばかりということもあり、アナウンス通りに動かないものもある様子です。ただ少なくとも Vercel は hobby プラン (Free) で本番デプロイまで完走できました。Stripe Projects に興味がある方は、まずは Vercel から試してみるのがよさそうです。
なお、Stripe Projects の概念や Quickstart は前段の記事「SaaSのアカウント管理を集約する新機能 Stripe Projectsを触ってみた」で扱っています。本記事では「init を済ませた後、各プロバイダで実際にデプロイまでたどり着けるか」に絞って書きます。
Next.jsアプリをセットアップしておく
Next.js の空プロジェクトを作って stripe projects init を実行したところまでが両ケース共通の出発点です。
pnpm create next-app stripe-project-vercel
cd stripe-project-vercel
stripe projects init
init の結果として 3 プロバイダ ( Vercel / Clerk / Cloudflare ) が link 済みの状態が得られました。もし標準されていない場合は、stripe projects addなどでプロバイダーを接続させておきましょう。
│ Project stripe-project-vercel
│ Account api-test (acct_19xxxxx)
│
│ ✓ Created .projects/
│ ✓ Updated .gitignore
│ ✓ Created .agents/skills/stripe-projects-cli/
│ ✓ Created .claude/skills/stripe-projects-cli
│ ✓ Created .cursor/rules/
│ ✓ Created .cursorignore
│ ✓ Updated AGENTS.md
│ ✓ Updated CLAUDE.md
ここから先、stripe projects add <provider>/<service> で実際にリソースをプロビジョニングしていくことになります。
Vercel/hobby (Free) で試す
まずは Vercel を試しました。stripe projects add vercel を実行すると、対話で plan を選ぶプロンプトが出ます。
✔ Select your plan
› hobby ● Free
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hobby (Free) を選んで続けると、Vercel 側で project が作成され、.env に 8 個の credential が同期されました。
✓ 8 credentials created for Vercel:
VERCEL_PLAN=••••••••
VERCEL_TEAM_ID=team••••••••
VERCEL_TEAM_URL=http••••••••
VERCEL_ORG_ID=team••••••••
VERCEL_PROJECT_ID=prj_••••••••
VERCEL_PROJECT_LINK={"or••••••••
VERCEL_PROJECT_URL=http••••••••
VERCEL_TOKEN=vca_••••••••
プロジェクトやアカウント情報と一緒に VERCEL_TOKEN もPullされています。これをつかってVercel CLI の認証を通すみたいですね。
さっそくdeploy までやってみましょう。.env の値をシェル環境変数として子プロセスに渡したいので、set -a を使って一括で export します。
set -a && source .env && set +a
set -a は「以後 source で読み込んだ変数を全部自動 export する」というモードです。1 個ずつ export しようとすると VERCEL_PROJECT_ID の export 漏れでエラーになったりするので、まとめて流し込むのがおすすめです。
そのまま deploy します。
npx vercel deploy --prod --token "$VERCEL_TOKEN" --scope "$VERCEL_ORG_ID" --yes
--yes フラグは framework 自動検出の確認プロンプトをスキップするためのものです。これがないと projectSettings が必要というエラーで止まりました。
デプロイに成功すると、このようにURLが表示されます。
🔍 Inspect: https://vercel.com/.../demo-stripe-project-vercel/...
✅ Production: https://demo-stripe-projectxxxxxxx.vercel.app [34s]
🔗 Aliased: https://demo-stripe-proxxxxx.vercel.app [34s]
curl -I でも HTTP/2 200 が返ってきており、ちゃんと動いています。
$ curl -I https://demo-stripe-project-xxxxx.vercel.app
HTTP/2 200
content-type: text/html; charset=utf-8
server: Vercel
x-nextjs-prerender: 1
x-vercel-cache: HIT
Vercel は hobby プランの範囲内で、stripe projects から本番デプロイまで CLI だけで一気通貫できました。
新しいチームに招待される
デプロイまで完了した時点でVercelダッシュボードを見てみました。すると新しいチームが増えています。

メールボックスにも、チームに招待されたことが通知されています。

追加されたサイトは、新しいチームに登録されていました。

おそらくですが、プランの管理や支払い系統を処理するために、Stripeが管理できるチームが用意されるのではないかと思います。
Cloudflare Workers (Free) で試す
次に Cloudflare Workers も試してみました。同じ流れで stripe projects add cloudflare/workers を実行し、Free tier をプロビジョニングしました。stripe projects status で見ると次のような状態になります。
Services (1)
Provider Service Pricing
Cloudflare workers Free
Plans (1)
Name Provider Plan Pricing
cloudflare-plan Cloudflare workers:free Free
ここで stripe projects env --service cloudflare/workers --json を叩いて、.env に何が降りてきたかを確認します。
$ stripe projects env --service cloudflare/workers --json
{
"access_configuration_keys": [
"CLOUDFLARE_WORKERS_ACCOUNT_ID",
"CLOUDFLARE_WORKERS_API_BASE_URL",
"CLOUDFLARE_WORKERS_DASHBOARD_URL",
"CLOUDFLARE_WORKERS_PLAN_SERVICE_ID",
"CLOUDFLARE_WORKERS_WORKERS_DEV_SUBDOMAIN"
]
}
降りてきたのは account ID や dashboard URL などのメタデータが 5 個。Vercel のときに降りてきた VERCEL_TOKEN に相当する CLOUDFLARE_API_TOKEN のような認証用トークンは含まれていませんでした。
そのため、wrangler から認証しようとすると次のように落ちます。
$ npx wrangler whoami
✘ [ERROR] Failed to fetch auth token: 400 Bad Request
✘ [ERROR] Not logged in.
Cloudflare Workersは有料プランのみ・・・?
原因がわからなかったのですが、Cloudflareのブログにはこのような記載があります。
Starting today, agents can now be Cloudflare customers. They can create a Cloudflare account, start a paid subscription, register a domain, and get back an API token to deploy code right away.
start a paid subscription と get back an API token が並んでおり、API token の発行は paid な action とセットで起きる設計のように読めます。実際 Cloudflare blog のデモ動画でも、agent は cloudflare/registrar:domain ( ドメイン購入 ) を実行する流れです。Workers の Free tier 単体だと、まだそこまで credential が降りてくる作りにはなっていないのかもしれません。
なお、Cloudflare Workers を paid plan に upgrade して挙動を確認しようとしましたが、stripe projects billing 系のコマンドは日本では現時点で利用できません。

Cloudflare Workers にデプロイしたい場合、現状は Stripe Projects から離れて、wrangler login で認証して wrangler.jsonc に account_id を書き、wrangler secret put で secret を投入して wrangler deploy、という従来のフローを踏むことになりそうです。
まとめ
Stripe Projects は開発者ベータとしてローンチされたばかりということもあり、アナウンス通りに全部動くわけではありませんでした。少なくとも Cloudflare Workers の Free tier では、API token が .env に降りてこない状態です。一方で Vercel は hobby プラン (Free) で stripe projects から本番デプロイまで CLI だけで完走しました。
provider 側の integration がどこまで成熟しているかで体験はかなり変わります。今後 Cloudflare Workers Free tier への対応が進めば、もっと一気通貫で動くようになる期待は持てそうです。
「とりあえず手元で stripe projects を試してみたい」という方は、まずは Vercel から触ってみると、アナウンスの謳い文句に近い体験ができると思います。Cloudflare Workers を試したい方は、本番デプロイの最後の 1 マイルは wrangler 側のフローを併用することを念頭に置いておくとよさそうです。